産業活動によって発生する「廃油」や「廃液」は、適正に処理しなければ環境汚染の原因となります。

特によくあるのが、不法投棄です。

河川や土壌に油分や有害物質が流出すれば、水質汚濁や悪臭被害を起こします。

不法投棄した者は、行政処分や刑事罰を負うことがあります。

こうしたリスクを防ぐうえで重要なのが、排出事業者に課せられる「拡大責任」の考え方です。

排出事業者責任と拡大責任の違いとは

「排出事業者責任」とは、

廃棄物処理法で定められた基本原則で、自社の廃棄物を最終処分まで責任を持って適正に処理する義務を指します。

つまり、委託業者に処理を任せた場合でも、「委託したから終わり」ではなく、その業者が不法投棄を行えば、排出元の企業も処罰対象になる可能性があるということです。

一方で「拡大責任(拡大生産者責任:EPR)」とは、

製品の生産者や排出事業者が、製品のライフサイクル全体にわたって環境負荷を軽減する責任を負うという考え方です。

欧州では既に制度化が進み、日本でもリサイクル法や廃棄物処理法の改正によって、この概念が広がりつつあります。

廃油や廃液の排出事業者も、処理だけでなく、発生抑制やリサイクルまでを含めた環境配慮が求められているのです。

不法投棄を防ぐための排出事業者の具体的な対策

拡大責任を全うし、自社のリスクを最小限に抑えるためには、処理業者任せにせず、積極的に管理を行う必要があります。

1. 徹底した業者選定(委託先の確認)

処理委託契約を結ぶ前に、以下の点を厳しくチェックすることが必須です。

【許可証の確認】

廃油・廃液の種類(特別管理を含む)に対応した許可を得ているか確認します。

収集運搬と中間処理、最終処分それぞれで必要な許可を持っているか確認しましょう。

優良認定やエコアクション21、ISO14001などの制度を取得しているとより安心です。

【処理体制の確認】

収集運搬車両や中間処理施設を現地で視察し、適正に処理できる設備や技術、管理体制や人員が揃っているか、漏洩防止等の環境対策がなされているかなどを確認します。

2. マニフェスト(産業廃棄物管理票)の確実な運用

マニフェストは、廃棄物の流れを追跡し、適正処理の証拠となる最重要書類です。

正確に記載(排出する廃油・廃液の種類、性状、数量)し、しっかりと保管しましょう。

特に、マニフェストの控え(E票など)が返却期限内に戻っているかを確認し、最終処分まで責任をもって追跡します。

電子マニフェストを利用することで、確認作業の効率化と信頼性向上に繋がります。

3. 適切な分別と保管

廃油・廃液の性状に応じて、安全な保管を徹底します。

特別管理産業廃棄物に該当するもの(引火性、有害性など)は、通常の廃棄物とは保管方法が異なりますので、しっかり確認します。

また、危険物の表示や流出防止措置をとり、万一の事故に備えます。

「知らなかった」では済まされない

廃油や廃液の不法投棄は、企業の信用を失墜させるだけでなく、環境・地域社会への深刻な影響を及ぼします。

また、不法投棄に関与した処理業者が倒産・逃亡した場合、排出事業者が処理責任を負い、原状回復や撤去にかかる莫大な費用を負担するケースが実際に発生しています。

「処理業者がやることだから」と他人事にせず、自社の廃棄物が環境を汚染しないよう、一貫して管理し続けることが、排出事業者の責務です。

単なる「処理委託」ではなく、「発生抑制」「リサイクル」「監査」のすべてを意識することが、不法投棄を防ぎ、持続可能な企業経営へとつながるのです。

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